【2026年4月29日 最終更新】
2026年3月31日にIPA・経済産業省から見直し案が正式公表され(4月28日に詳細更新)、新試験名称や情報処理安全確保支援士の扱いなど、最新情報に基づいて全面アップデートしました。
ネットワークスペシャリストはなくなるのか?結論から言うと
「ネスペはなくなる」という情報をSNSや掲示板で見かけた方も多いんじゃないかと思います。結論から言うと、ネットワークスペシャリスト試験は2026年度をもって終了し、2027年度から新試験「プロフェッショナルデジタルスキル試験(PDS試験・仮称)」のシステム領域に統合されます。ただし「なくなる=終わり」ではなく、新しい試験区分に統合されるかたちです。
正確に言うと——
- 現行の「ネットワークスペシャリスト」という試験名称は2026年度をもって終了
- 新試験「プロフェッショナルデジタルスキル試験(PDS試験・仮称)」のシステム領域に統合
- 現役ネスペ保有者の資格は失効しない(引き続き有効)
「取得しても意味なくなる?」という不安をよく聞くんですが、そんなことはないです。以下で順番に整理します。

2026年3月末、ネットワークエンジニアにとって衝撃的なニュースが正式公表されました。
ネットワークスペシャリスト試験(ネスペ)が、2027年度から別の試験に統合される。
日々Ciscoのルーターやスイッチを触っている身として、「ネスペ」という名前がなくなるというのは、かなりのインパクトです。
今回はこの「情報処理技術者試験の大改定」を深掘りしながら、ネットワークエンジニア視点で「じゃあ今からどう動くべきなのか」という部分まで踏み込んでみたいと思います。
そもそも何が起きているのか? ── 2027年度IPA試験の大再編
2025年12月に経産省が方向性を示唆していた情報処理技術者試験の見直しが、2026年3月31日にIPA・経済産業省から正式に公表されました(最新更新は4月28日)。
ざっくり言うと、現在13ある試験区分(情報処理技術者試験+情報処理安全確保支援士試験)が8つに再編されるというもの。しかもこれ、ちょっとした微調整ではなく、試験の思想そのものが変わるレベルの話なんですよね。

注目すべきは、応用情報技術者試験も含めて「マネジメント」「データ・AI」「システム」の3領域に再編されるという点。
つまり、これまでの「データベース」「ネットワーク」「エンベデッド」といった要素技術ごとの縦割り評価から、クラウド時代に即した横断的な能力評価に切り替わるわけです。
改定は2段階で進む
押さえておきたいのが、改定が2026年度と2027年度の2段階で進むということ。
- 2026年度:応用情報・高度試験・支援士試験がCBT方式に移行(試験区分は現行のまま)
- 2027年度:試験区分の大改定(PDS試験スタート、データマネジメント試験新設)、CBTに適した出題形式へ見直し
つまり、2026年度はCBTで現行のネスペ・支援士を最後に受けられる年、2027年度から新試験になる、という構造です。
新設される「データマネジメント試験(仮称)」
もう一つの目玉が、データマネジメント試験(仮称)の新設です。
これはAI活用において求められる、主にビジネス部門を想定したデータの整備・管理に関するスキルを評価する新試験。位置付けとしては現行の情報セキュリティマネジメント試験と同程度のレベル感で、「ITパスポートの次のステップ」として設計されています。
ネットワークエンジニア(以下、NE)が直接受ける試験ではないものの、現場でAI連携やデータ基盤を扱う場面は増えているので、内容は押さえておいて損はないかなと思います。
ネットワークエンジニアにとって何が変わるのか
「ネスペ」という名前がなくなる
これが一番ショックというか、寂しいところですよね。
『ネスペ』シリーズの著者である左門至峰さんも、「この名前が大好きだった」と率直にコメントされています。NEにとって、「ネットワークスペシャリスト」という肩書きは単なる資格名以上の意味があったんじゃないかなと思います。
僕自身、日々Ciscoの機器を触りながら「いつかネスペを……」と考えていた身としては、2026年度が”ネスペ”として受けられる最後の年になるというのは、かなりのインパクトです。
求められるスキルの幅が広がる
新しい「プロフェッショナルデジタルスキル試験(PDS試験)のシステム領域」では、ネットワーク分野が重要科目として残ることは間違いなさそうです。ただし、データ・AI領域の知識も問われるクロスオーバーな出題になる可能性が指摘されています。さらに、3領域すべての試験合格者には「AI時代におけるフルスタックスキル」のデジタル証明発行も検討されているようです。
「ネットワークだけ極めればOK」という時代から、「ネットワーク + クラウド + データ活用」を横断的に理解できるエンジニアが求められる方向にシフトするということですね。
これ、日々の現場感覚ともけっこうマッチしていて、最近のネットワーク設計でもクラウド連携やAPI連携の知識がないと話にならない場面が増えています。試験制度がようやく現場に追いついてきた、とも言えるかもしれません。
2026年度からCBT化、2027年度から出題形式も見直し
もう一つ大きな変化として、2026年度から応用情報・高度試験・支援士試験がCBT(Computer Based Testing)方式に移行します。これは試験区分の再編とは別に先行して実施される変更です。
これに伴い、従来の春期/秋期 年2回制から、前期試験(2026年11月頃)/後期試験(2027年2月頃)という二期制に変わり、各期内で複数日から自分の都合に合わせて受験日時・会場を選べるようになります。
これまでの紙ベースの午後試験(あの長文を読んで記述するやつ)も、2026年度はCBT化されつつ出題形式は維持、2027年度の新試験ではCBTに適した形式へ見直されます(論述試験のあり方は2028年度以降に継続検討)。
ちなみに、ITパスポート試験と情報セキュリティマネジメント試験は、システムリプレースの延期に伴い、2027年1月以降に一時休止される予定。もし受験を考えている方は、2026年12月27日までの試験日を選んで申し込むのが安全です。
新しい世代の「当たり前」── 共通テスト「情報Ⅰ」の衝撃
ちなみに、IPA試験の話と少しだけ関連する話題として触れておきたいのが、大学入学共通テストに追加された「情報Ⅰ」です。出題範囲にはネットワークの基礎やアルゴリズムが含まれていて、数年後にはこのレベルの知識を全員が持った状態で新社会人が入ってくることになります。
僕たち現役エンジニアも、彼らが「当たり前」として持っている知識の上に、どれだけ実務レベルの深みを積み上げられるかが勝負になっていく。そういう時代がもうすぐ来るんだなと感じています。
関連記事: 学生向けに、情報Ⅰの知識が社会でどう活きるか、IT資格のロードマップ、免許制度の変更点などをまとめた記事も書いています。進路を考えている学生さんや、お子さんに共有したい方はこちらもぜひ。 → 【学生向け】共通テスト「情報Ⅰ」で学んだ知識は、社会に出たら本当に使えるの?
【本題】2027年の新試験に向けて、どう勉強するべきか
さて、ここからが一番大事なパートです。
ネスペという試験名がなくなるとはいえ、ネットワークの知識が不要になるわけでは全くない。むしろ、ネットワーク + αのスキルを身につけた人材がより求められる時代が来るわけです。
では、2027年度の新試験を見据えて、今からどう動くべきか。僕なりの考えをまとめてみます。
ステップ1:2026年度中に「現行のネスペ」を受ける
まず最優先で検討してほしいのがこれです。
2026年度が、「ネットワークスペシャリスト」という名前で受験できる最後の年になります。しかも2026年度からCBT化されるので、従来の春秋の年2回制約から解放されて、前期(2026年11月頃)と後期(2027年2月頃)から自分の都合に合わせてスケジュールを組めるようになります。
「ネットワークスペシャリスト」という資格名は、名刺に載せたときのインパクトもありますし、NEとしてのアイデンティティを示す意味でも、取れるうちに取っておく価値は大きいと思います。
なお、2026年度中に取得した現行高度試験の合格情報は、IPAが構築中のスキル・キャリア管理プラットフォームに登録され、新制度下でも引き続き活用できる予定です。「今やっても無駄になる」ことは絶対にないので、安心して動いて大丈夫です。
ステップ2:ネットワークの「基礎体力」を固める
新試験がどんな形式になるにせよ、TCP/IP、ルーティング、スイッチング、セキュリティといったネットワークの基礎知識は絶対に必要です。ここは何があっても変わらないはず。
僕が日々のCisco機器の設計・構築で実感しているのは、「基礎がしっかりしていれば、新しい技術が出てきても応用が利く」ということ。OSPFの仕組みを理解していれば、SD-WANのコントロールプレーンの話もスムーズに入ってくるし、VLANの設計思想がわかっていれば、クラウドのVPCネットワーク設計も怖くないんですよね。
おすすめの勉強本3選
- CCNAの取得 or 復習: ネットワークの基礎体力をつけるなら、やっぱりCCNAが最も効率的。新試験でもこの土台は100%活きます
- 『ネスペ』シリーズの過去問演習: 新試験の過去問がない以上、現行のネスペ過去問は最良の教材。特に午後問題の長文読解は、実務でのトラブルシューティング力に直結します
- Packet Tracerやラボ環境での実機演習: 机上の知識だけでなく、実際にコンフィグを打って挙動を確認する経験が圧倒的に差をつけます
ステップ3:クラウド・データ活用の知識を「上乗せ」する
新試験では、ネットワーク単体ではなく「システム」という大きな括りで問われることになります。つまり、以下のような分野の知識も求められる可能性が高い。
- クラウドネットワーキング(AWS VPC、Azure VNet、GCPなど)
- コンテナ・マイクロサービス時代のネットワーク(Service Mesh、Kubernetesのネットワークモデル)
- Infrastructure as Code(Ansible、Terraformなど)
- データ活用・AI連携の基礎知識
特に、NEにとって取り組みやすいのはクラウドネットワーキングだと思います。オンプレミスのネットワーク設計の知識がそのまま活きる分野なので、「今の知識の延長線上」として学びやすいんですよね。
AWSのVPC設計とか、Azure VNetのピアリングとか、やってみると「あ、これオンプレのVLAN間ルーティングと同じ考え方じゃん」みたいな発見が多くて、けっこう楽しいです。
ステップ4:情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)も視野に
ここは2026年4月時点で前提が変わった部分なので、しっかり押さえてください。
情報処理安全確保支援士試験は、再編対象内です。具体的には:
- 2026年度:応用情報・高度試験と同じくCBT方式へ移行
- 2027年度:CBTに適した出題形式へ見直し、マネジメント分野の出題が強化される方向
- 試験のレベル感そのものは維持される(経済産業省公式明記)
つまり「試験の枠組み」と「出題形式」は変わりますが、「資格の価値」や「目指すべき水準」は変わりません。むしろマネジメント観点が強化されることで、CISO補佐・BCP・サプライチェーンリスクといった現場ニーズに即した内容になっていく見込みです。
ネットワークとセキュリティは切っても切れない関係なので、ネスペの知識をベースに支援士も取得しておくと、新制度下でも「ネットワーク × セキュリティ」の二刀流として強力な武器になります。
まとめ:試験は変わる。でもネットワークの価値は変わらない
2026〜2027年は、日本の試験制度にとってまさに「転換期」です。
ネットワークスペシャリスト試験という名前はなくなる。でも、ネットワークの知識やスキルが不要になる未来は、少なくとも僕には想像できません。
むしろ、クラウド・AI・データ活用の時代だからこそ、それらを支える「ネットワーク基盤」を理解しているエンジニアの価値は上がると思っています。
今やるべきことは明確です。
- 取れるものは今のうちに取る(2026年度のネスペ・支援士)
- 基礎を固める(CCNA、ネスペ過去問、実機演習)
- +αの知識を積む(クラウド、IaC、データ活用の基礎)
- 変化を恐れず、楽しむ
試験の名前が変わったところで、ルーターやスイッチの前で積み上げてきたものが無駄になるわけがない。
新試験の詳細シラバスやサンプル問題は2026年度夏頃を目途に順次公開される予定なので、動きがあれば、またこのブログで書きます。
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