【学生向け】共通テスト「情報Ⅰ」で学んだ知識は社会で使える?現役ネットワークエンジニアが本音で答えます

「情報Ⅰ」の授業を受けて、あるいは共通テストで解いて、こんなことを思った人はいませんか。

「これ、将来ほんとに使うの?」

結論から言うと、めちゃくちゃ使います。 少なくとも、僕が毎日やっているネットワークエンジニアという仕事では。

今回は、2026〜2027年にかけて大きく動いている試験制度の話を絡めながら、「学校で学んだ情報の知識が、実際の仕事でどう活きるのか」を、現役のネットワークエンジニアの目線でお伝えしたいと思います。

これから就活を控えている大学生はもちろん、進路に迷っている高校生にも読んでほしい内容です。


共通テスト「情報Ⅰ」の第4章、それはまさに僕の仕事

共通テスト「情報Ⅰ」は、2025年度から新たに導入された科目です。4つの領域で構成されていますが、特に注目してほしいのが第4章「情報通信ネットワークとデータの活用」です。

情報Ⅰの4つの柱

テーマ社会に出てからの関連度
第1章情報社会の問題解決(セキュリティ、著作権など)どの業界でも必須
第2章コミュニケーションと情報デザイン(デジタル化、圧縮)Web・メディア系に直結
第3章コンピュータとプログラミング(アルゴリズム、疑似言語)開発職 ・データ分析に直結
第4章情報通信ネットワークとデータの活用ネットワークエンジニアの守備範囲そのもの

第4章で扱うプロトコルの基本、ネットワーク構成の考え方、データ通信の仕組み……。これらはまさに、僕が毎日Ciscoのルーターやスイッチを設定しながら向き合っている世界そのものです。

「疑似プログラム言語」に戸惑った人へ

共通テストでは、特定のプログラミング言語に依存しないように、大学入試センター独自の疑似プログラム言語が使われています。

「こんな言語、現場では使わないでしょ?」と思うかもしれません。実際その通りです。でも、大事なのは言語そのものではなくて、アルゴリズムを読み解く力なんですよね。

僕の仕事でも、ネットワーク機器のログを読んだり、自動化スクリプトのロジックを追ったりする場面が毎日のようにあります。そのときに必要なのは、まさに「処理の流れを頭の中でトレースする力」。情報Ⅰで培ったその力は、想像以上に現場で使うことになると思います。

初年度の平均点は約69点。でも油断は禁物

2025年度の初回試験は、多くの受験生にとって取り組みやすい内容だったようです。ただ、これが今後も続く保証はありません。

2027年度の共通テストに向けた勉強のコツを、現場で情報技術を使っている立場からアドバイスするなら、こんな感じです。

教科書の内容は確実に固める。 共通テストは基本的に教科書の範囲内から出題されるので、まずは授業をしっかり理解するのが王道です。特に高1で履修する学校が多いので、忘れてしまった内容は模試のタイミングで復習するのが効果的かなと思います。

「なぜそうなるのか」を意識する。 単にプロトコル名を暗記するのではなく、「なぜTCPは3ウェイハンドシェイクが必要なのか」「なぜIPアドレスにはサブネットマスクが必要なのか」と理由を考える癖をつけると、応用問題に強くなります。

身の回りのIT体験を教材にする。 Wi-Fiに接続するとき、動画をストリーミングするとき、スマホで通信するとき。日常のあらゆる場面に「情報Ⅰ」の学習内容が隠れています。実際、過去の試作問題では路線図が題材になったりもしていて、日常的にITの仕組みに興味を持っておくことが得点力に直結します。


2027年、IT資格の世界も激変する

もう一つ、IT業界に興味がある人に知っておいてほしい話があります。

情報処理技術者試験(IPA試験)が、2027年度から大幅に再編されます。

何がどう変わるのか

これまで、IT業界で広く認知されてきた「応用情報技術者試験」や、その上位にある「ネットワークスペシャリスト」「データベーススペシャリスト」などの高度試験。これらが「プロフェッショナルデジタルスキル試験」として3つの領域に統合される見込みです。

新しい領域含まれる旧試験
マネジメント・監査ITストラテジスト、PM、ITサービスマネージャ、システム監査
データ ・AIデータベーススペシャリスト
システムネットワークスペシャリスト、システムアーキテクト、エンベデッドシステムスペシャリスト

学生にとってこれはチャンス

「え、試験が変わるの?じゃあ勉強しても意味ないのでは……」と思うかもしれません。でも、むしろ逆です。

新制度では、「自分はインフラ系に興味があるからシステム領域を受ける」というように、キャリアの方向性に合わせた受験ができるようになります。従来の応用情報のように「広く浅く全分野」を勉強する必要がなくなるので、得意分野で勝負しやすくなるんですよね。

さらに、新試験では過去問がないので、初期の合格者は早いもの勝ち的な側面もあります。今のうちから基礎を固めておけば、新試験のスタートダッシュで有利に立てます。

学生が今から取るべき資格ロードマップ

IT業界を目指す学生のために、2027年の制度変更を見据えたおすすめの資格取得の順番を提案します。

学生向けIT資格ロードマップ図解

ステップ1:ITパスポート(在学中いつでも)

IT全般の基礎知識を証明する国家試験です。合格率は約50%で、IT資格の入門として最適。情報Ⅰの授業内容と重なる部分も多いので、授業の延長線上でチャレンジできるはず。

ただし正直なところ、ITエンジニア志望ならアピール力としてはちょっと弱い。あくまで「次のステップへの土台」と考えてください。

ステップ2:基本情報技術者試験(大学1〜2年)

ITエンジニアを目指すなら、まずこれ。情報Ⅰの知識がそのまま活きる部分も多く、持っているだけで就活では「基礎がある人」として評価されます。合格率は約25%。大学入学後の早い段階で取り組むのがおすすめです。

なお、基本情報は現在CBT方式で随時受験可能。自分のペースで準備できるのも学生に嬉しいポイントです。

ステップ3:CCNA(大学2〜3年 ※ネットワーク志望の場合)

ネットワーク志望なら、正直これが一番効く。国家試験よりもCiscoのベンダー資格「CCNA」の方が、現場での評価が高い場合もあります。

CCNAは、ルーター・スイッチの設定からネットワーク設計の基礎まで、実務に直結する知識が問われる試験です。僕自身、毎日の業務でCCNAレベルの知識を使わない日はありません。

就活時にCCNAを持っている学生は正直まだ少ないので、「この学生、本気でネットワークをやりたいんだな」と面接官の目に留まることは間違いないです。

ステップ4:新制度の「プロフェッショナルデジタルスキル(システム)」(入社後 or 大学4年〜)

2027年度から始まる新試験。入社後のキャリアアップに活用できます。学生のうちは無理にここまで目指す必要はありませんが、ステップ2〜3の知識があれば、入社後にスムーズにチャレンジできるはずです。

関連記事: IPA試験再編の全体像をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事で深掘りしています。 → 【2027年】ネスペがなくなる?情報処理技術者試験の大改定と、ネットワークエンジニアが今やるべきこと


免許も取りやすくなった──17歳6ヶ月から受験可能に

試験の話つながりでもう一つ。2026年4月1日から、普通自動車免許の仮免・本免試験が17歳6ヶ月以上で受験できるようになりました。

これ、特に早生まれ(1月〜3月生まれ)の高校生にとっては大きな制度変更です。

なぜ変わったのか

従来の制度では、高校3年生の1月〜3月に18歳の誕生日を迎える生徒は、卒業までに免許を取るのがほぼ不可能でした。卒業式の準備や就活と教習所の繁忙期が完全に被ってしまうからです。

地方では「普通免許の取得」が就職の必須条件という企業も多く、生まれ月が遅いだけで就職の選択肢が狭まるという構造的な不平等が問題になっていました。

受験資格を17歳6ヶ月に引き下げることで、大多数の高校3年生が夏休みや2学期の段階で教習を始められるようになったわけです。

ただし注意点がある

情報Ⅰと実務で使う知識の注意点

17歳6ヶ月で試験に合格できても、免許証の交付は18歳の誕生日以降。つまり、合格から免許交付まで最大6ヶ月の空白期間が生まれます。

せっかく身につけた運転技術も、半年間まったく運転しなければ鈍ってしまいますよね。免許交付直後の事故リスクを考えると、空白期間中も仮免許の範囲で練習を続けるか、18歳になった直後にリフレッシュ講習を受けることを強くおすすめします。


まとめ:学校で学んだことは、ちゃんと「武器」になる

「情報Ⅰ」の授業、正直つまらないと感じた人もいるかもしれません。でも、あの授業で学んだネットワークの基礎、アルゴリズムの考え方、情報セキュリティの知識は、社会に出たら確実に使えるスキルです。

特にIT業界、その中でもネットワークエンジニアという職種では、情報Ⅰで学ぶ内容がそのまま日常業務の土台になります。

そして、IT資格の世界も2027年から大きく変わります。変化の時期だからこそ、今のうちに基礎を固めておけば、新制度の恩恵を最大限に活かせる

授業で習ったことをちゃんと覚えておくこと。余裕があれば在学中にITパスポートや基本情報を取っておくこと。ネットワーク志望ならCCNAも。あとは「なぜそうなるのか」を考えるクセをつけておくこと。

社会人になったとき、ちょっとだけ有利に動ける。それくらいの温度感です。

CCNAの勉強法やネットワークエンジニアのリアルな話は、他の記事でも書いているので気になったらのぞいてみてください。


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