「ネットワークスペシャリストとCCNA、どっちを取るべき?」
ネットワーク系の資格を調べ始めた人が、ほぼ必ずぶつかる悩みかなと思います。ネットで比較記事を読みまくったけど、正直ピンとこなかった——という人も多いはず。
今回は、ネスペを受けたことがない現役ネットワークエンジニア(以下、NE)(つまり私)が、10年以上現場で働いてきた立場からこの問いに答えます。
結論を先に言ってしまうと、CCNAで現場は回ります。そしてその先は、ネスペじゃなくてPMPが増えてきているというのが、私が見ている現実です。なぜこう考えているのか、順を追って書いていきます。
なぜNWエンジニアがPMPを選ぶのか、受験資格・費用・2026年7月ECO改訂まで具体的にまとめた記事を別途用意している。CCNA・ネスペの次を考えている方はこちらも参考にしてほしい。
そもそもネスペとCCNAは別物の資格
比較に入る前に、両者の基本スペックを並べます。
| 項目 | ネットワークスペシャリスト | CCNA |
|---|---|---|
| 運営 | IPA(独立行政法人) | Cisco(米国企業) |
| 種別 | 国家資格 | ベンダー資格 |
| 受験料 | 7,500円(税込) | 約47,000円(300USD換算) |
| 試験形式 | 午前Ⅰ・Ⅱ+午後Ⅰ・Ⅱ(記述・論述あり) | CBT方式・120分・約100問 |
| 有効期限 | なし(一生有効) | 3年 |
| 合格率 | 15〜17%程度 | 公式非公開(体感50%前後) |
| 国際通用性 | 日本国内のみ | 世界共通 |
並べて見ると、ネスペとCCNAは性質がまるで違うことがわかるかなと。国家資格で記述・論述ありで一生有効のネスペに対して、CCNAはベンダー資格で選択肢中心で3年で失効する。受験料も7,500円と47,000円で桁違い。
もう少し視覚的に整理すると、こんな感じのポジショニングです。

「どっちが上か」じゃなくて「用途が違う」資格だというのが、まずスタートラインです。
ネスペは素直にすごい資格
先に言っておくと、ネスペはすごい資格です。これは私も思います。
合格率15%前後の難関試験で、国家資格で、記述・論述で深い理解が問われる。周りで受かった先輩を見ていても、「ネスペ取ったらしいよ」と聞くと自然と一目置きます。
特に大手SIerや官公庁の案件では、ネスペ保有者が入札要件や加点項目になっていることが結構あります。私が担当している官公庁案件でも、提案書に「ネットワークスペシャリスト保有者○名」という記載欄があるんですよね。ここは純粋に評価される場面です。
あと、一度取れば一生有効なのもデカい。3年ごとに4万7千円払って更新するCCNAとは、そこだけ見ると圧倒的にコスパがいい。
それでも私がネスペを受けていない理由
ここが本題です。
10年以上ネットワークエンジニアとして現場で働いてきて、私はネスペを受けていません。理由は単純で、CCNAの知識範囲で業務が完結しているからです。
もっと具体的に言うと、現場で触るのはCisco機器(IOS・IOS-XE・NX-OS)やFortiGateといったベンダー固有の実機なんですよね。コンソール接続してコマンド打って、設定ファイル書き出して、トラブルシュートして。これが日々の仕事です。
このとき役に立つのはCCNAで学んだ内容そのものです。show ip routeの読み方、VLANの設定、OSPFのコスト計算、ACLの評価順序。参考書で覚えてPacket Tracerで動作確認したことが、そのまま現場で使えます。
一方、ネスペの午後Ⅱのような「長文事例を読み解いて記述で答える」形式の知識が現場で必要になるかというと、正直あまり直接的には使わないかなと。もちろん、設計や要件定義の場面でネスペ的な思考が役立つ場面はあるんですが、それは実務経験で身につく部分も大きい。
ネスペの勉強に200〜400時間かけるくらいなら、その時間で実機検証して手を動かす方が私の仕事には直結する。これが10年やってきた実感です。
年収を上げるのは資格じゃなくて経験
もう一つ、身も蓋もない話を。
ネスペを取ったからといって年収がグンと上がるかというと、実はそこまでは上がらないんですよね。少なくとも私が見ている範囲では、ネスペ保有者と非保有者で年収が大きく変わっている印象はあまりない。
年収が上がる要因はもっとシンプルで、「提案書が書けるか」「顧客と折衝できるか」「プロジェクト全体を動かせるか」。技術的に深いことを知っているかどうかは、ある程度のレベルを超えたら大差がなくなっていきます。
逆に言うと、CCNAで現場に入って経験を積んで、そこから先は「技術の深さ」じゃなくて「プロジェクトを動かす力」が問われるフェーズに入る。ここで効いてくるのが次の話です。
ベテランNEが今取っているのはPMP
ここ数年、周りで目立って増えてきた資格があります。PMP(Project Management Professional)です。
PMPはPMI(Project Management Institute)が認定する、プロジェクトマネジメントの国際資格。海外でも通用するので、ネスペとは別の意味で価値がある資格です。
私の周りにいるネスペ保有のベテランNEたちが、気づいたら次々にPMPを取っていて。「次はPMP取ったよ」という話をここ1〜2年で何度聞いたかわからない。
なぜか。理由はシンプルで、ある程度のキャリアを超えると「技術を深く知っている」より「プロジェクトを動かせる」の方が評価されるからです。
要件定義で顧客の課題を引き出して、スケジュールを組んで、メンバーをアサインして、リスクを管理して、予算を守って。こういうプロマネ的な動きが、技術を磨くことより遥かに稼ぎに直結する。これが現場の実感です。
私自身、PMP取得は視野に入れています。まだ正式に勉強を始めてはいないですが、周りの動きを見ていると「次はこっちだな」という感覚がある。ネスペじゃなくてPMP、というのが今のリアルな肌感覚です。
キャリア段階別の推奨ルート
ここまでの話を、図にまとめるとこうなります。

それぞれの段階ごとに、もう少し補足します。
学生・未経験の方
迷わずCCNAで良いと思います。実機の知識が身について明日から使えるし、世界共通の資格なので就職市場で通じる。3〜4ヶ月で取れるので、学生時代の時間で十分間に合います。
ネスペは難易度も高いし、背景知識がないうちに取ろうとしても挫折しやすい。まずCCNAで現場に入る方が圧倒的に早いかなと。
▼ 【完全版】CCNA合格ロードマップ|独学で受かるための勉強順序と期間を解説
▼ 3ヶ月で合格するためのスケジュール実例はこちら:CCNA勉強スケジュール実例|社会人が平日2時間・週末5時間で3ヶ月合格する時間割
現場3〜5年目のエンジニア
ここが一番悩むフェーズ。選択肢は大きく3つあって、技術を深掘りしたいならネスペかCCNP、実務範囲を広げたいならAWSやAzureなどのクラウド資格、マネジメント寄りに行きたいならPMPやプロマネ系の資格。
完全に「自分が何をやりたいか」で決める場面ですが、個人的には国内大手SIerや官公庁で働く予定があるならネスペ、外資系やクラウド案件を視野に入れているならCCNPかクラウド資格、チームリード以上を目指すならPMP、という感じかなと思います。
現場7年以降のエンジニア
ここまで来たら、技術資格を追いかけるよりPMPを取ってキャリアの幅を広げる方が効く場面が多い。
「技術の深さ」で評価されるのはある程度までで、そこから先は「プロジェクトを動かす力」や「顧客と折衝する力」が年収に直結します。ネスペを取るより、PMPを取る方が市場価値が上がりやすいフェーズかなと。
2027年のIPA試験改定、ネスペはなくなる?
最後に、2027年の試験改定にも触れておきます。
IPAは令和8年度(2026年度)からCBT方式への移行を発表していて、2026年3月31日にIPA・経済産業省が試験体系の見直しを正式公表しており、2027年度から「プロフェッショナルデジタルスキル試験(PDS試験・仮称)」のシステム領域として再編されます。「ネスペがなくなる」という表現が一部で話題になっていますが、試験区分は再編されるものの、ネットワーク分野はPDS試験のシステム領域で重要科目として残る見込みであり、これまで積み上げてきた知識・スキルは引き続き活きるので、過度に心配する必要はないかなと思います。
詳細はこちらに。
▼ ネスペは2027年に廃止・再編|現役NEが解説する移行の全容と今やるべきこと
一方、CCNAはCiscoが独自に運営している試験なので、IPAの改定の影響を受けません。この点は資格選びのひとつの判断材料になるかもしれない。
まとめ
「ネスペ vs CCNA」で悩んでいる方へ伝えたいことをまとめます。
ネスペはすごい資格です。国家資格で、国内評価が高くて、一生有効という価値は本物。ただ現場で動いているのはCCNAの知識範囲で、実機を触る仕事ならCCNAで十分戦えるというのが、私が10年やってきた本音です。
そして、年収を上げるのは資格じゃなくて実務経験と、プロジェクトを動かす力。ベテランNEが今取っているのは、ネスペじゃなくてPMPだったりします。
「ネスペ vs CCNA」の二択で悩むのは、実はキャリアの入り口の悩みなんですよね。その先はもっと広い選択肢があって、資格は目的ではなく手段です。自分が5年後・10年後にどうなっていたいかを考えて、そのための最短ルートを選ぶのが一番いいかなと思います。
これからCCNAを目指す方は、まずこちらから。
▼ 【完全版】CCNA合格ロードマップ
▼ 【無料】CCNA想定問題集まとめ
ネスペをすでに持っていて「次何取ろうかな」と悩んでいる方は、PMPを一度調べてみる価値はあるかなと。現場の空気がここ数年で変わってきているのを、ぜひ実感してみてください。