ネットワークの勉強でつまずきやすいのは、「パケットがどこからどこへ、どの順番で流れるのか」が頭の中で動かないことだと思います。教科書の図は止まっているので、ブロードキャストがどこまで広がるのか、どのタイミングでテーブルが埋まるのかは、読む人が自分で想像するしかありません。
このシリーズでは、構成図の上で実際にパケットを動かしながら、ネットワークの仕組みを1つずつ解説します。ネットワークエンジニア(以下、NE)の現場でつまずきやすいところも、各記事にあわせて書いていきます。
このシリーズの見方
各記事には、パケットが構成図の上を動く図が入っています。操作は次の3つです。
- ずっとループ再生:ページを開くと、パケットのやり取りが最初から最後まで繰り返し流れます。速度は初期設定が0.5倍で、1倍と2倍に切り替えられます。
- フェーズのボタンで止める:「フェーズ1」などのボタンを押すと、そのパケットだけを流して止まります。▶を押すと続きから再生します。
- 下のタブで中身を見る:パケットの中身、Wireshark(通信を記録して表示するソフト)のようなキャプチャ一覧、機器のテーブルやコマンドの結果が、動きに合わせて変わります。
表示のルールはどの記事も同じです。オレンジの点がブロードキャスト(全員宛て)、黒の点がユニキャスト(1台宛て)です。パケットが目的の機器に届くと「受信」、送り返す機器には「返送」、関係のない機器で捨てられると「破棄」と表示されます。
まずは「pingが届くまで」の6本から
最初の6本では、PCがIPアドレスをもらい、相手にpingが届き、インターネットへ出ていくまでを順番に追います。上から読むと、前の記事の知識が次の記事でそのまま使えるように並べています。
- DHCP:IPアドレスを借りる4つのパケット(DORA)(11月6日公開予定)
- ARP:pingの前に飛んでいるパケット(11月7日公開予定)
- MACアドレス学習:スイッチが宛先を覚える仕組み(11月8日公開予定)
- ルーターを越える通信:MACは変わり、IPは変わらない(11月9日公開予定)
- DHCPリレー:別のネットワークのサーバーからIPをもらう(11月10日公開予定)
- NAT/PAT:プライベートIPのままインターネットに出る(11月11日公開予定)
シリーズで扱う題材
CCNAの範囲を中心に、全部で63本を予定しています。週4本のペースで追加し、公開したものから順にリンクを張っていきます。主な題材は次のとおりです。
通信のルールとサービス(TCP・DNSなど)
TCPの3ウェイハンドシェイク、TCPとUDP、DNSの名前解決、HTTP/HTTPSとTLS、pingとtraceroute、ポート番号、SSHとTelnet
スイッチの設計(VLAN・STPなど)
VLAN、トランク(802.1Q)、STP、ループとブロードキャストストーム、EtherChannel
ルーティングと冗長化
ルーティングテーブル、スタティックルート、VLAN間ルーティング、OSPFのネイバー確立、OSPFのDR/BDR、HSRP
セキュリティ
ACL、ステートフルFW、FortiGateのポリシー判定、ポートセキュリティ、DHCPスヌーピングとDAI、AAA、IPsec VPN、SSL-VPN、FWの冗長化、DDoS攻撃と対策、CDN、WAF、EDR、ASM(アタックサーフェス管理)、ゼロトラスト(ZTNA/SASE)
IPアドレスと基本の考え方
IPアドレス、サブネットマスク、サブネット分割、プライベートとグローバル、2進数と16進数、OSI参照モデル、カプセル化など。パケットの流れではなく、仕組みそのものを動かして見せます。
無線・WAN・その他
IPv6、無線LANの接続、無線のチャネル、WLCとAP、WAN、QoS、SDNと自動化、NTP・SNMP・Syslog、CDP/LLDP
このシリーズで大事にしていること
- 実機の表示に合わせる:設定はCisco IOS、キャプチャはWiresharkの表示に合わせています。教科書の図と、実際に画面で見るものをつなげるためです。
- 現場でつまずくところを書く:仕組みの説明だけで終わらせず、「この設定を忘れるとこうなる」「このログが出たらここを疑う」といった、NEの現場で使える話を各記事に入れます。
- CCNAの教科書と並べて読める:試験範囲の用語はそのまま使い、教科書を読んでいてピンとこなかったところを、動きで確かめられるようにしています。
図の動きや説明の間違い、「この題材も見たい」というリクエストがあれば、X(@ponflog)で気軽に教えてください。